📚本レビュー

町田そのこ『初恋をしまう日』|淡い初恋の裏に描かれた、切なくも温かい人間ドラマ

こんにちは、とんび母さんです🐦

町田そのこさんの『初恋をしまう日』を読みました。
中学生の甘酸っぱく淡い恋愛小説を読むのは、すごく久しぶりのことです。

物語の主人公は、中学2年生の茜(あかね)と碧生(あお)。
碧生の厳格な父親から隠れるようにして、密かに、けれど真っ直ぐに交際を続けていた二人でした。

しかし、その穏やかな日常はある日突然終わりを告げます。
茜の兄が犯罪を起こしてしまったことで、茜は遠くへ引っ越し、苗字を変えて生きていくことを余儀なくされてしまうのです。

離れ離れになり、会えないまま大人になってもなお、お互いへの強い思いを抱き続ける二人。
引き裂かれてしまった二人の初恋は、一体どのような結着を迎えるのでしょうか。
そして、過酷な現実に引き裂かれた家族は、どんな答えを見出していくのでしょうか。

最初は、切なくもピュアな中学生の恋愛小説として読み進めていました。
ですが、物語が進むにつれて印象は一変します。

単なる初恋の物語にとどまらず、家族のぐちゃぐちゃとした泥臭い現実や、人生の思い通りにいかない苦しみが容赦なく描かれていきます。
けれど、そんな絶望のなかでも、周りの温かい人々に救われ、少しずつ前を向いていく人間模様がとても丁寧に紡がれていました。

二人の恋のゆくえはもちろんのこと、傷ついた家族たちがどうやって生きていくのか、最後まで目が離せませんでした。

(※後半の家族のまとまり方には、少し駆け足に感じる部分や個人的な好み・捉え方の違いもあるかもしれませんが…!)
絶望のなかでも周りの温かい人々に救われ、それぞれが前に進もうとする姿には、切なさと温かさが残る一冊でした。

気になった方は、ぜひ手に取ってみてください。