📚本レビュー

勝手な思い込みと、初版だけの「幻のあとがき」の話『氷菓』

こんにちは、とんび母さんです🐦

高二の長女がお気に入りの小説、米澤穂信さんの『氷菓』を読みました。

実はこの本、去年から我が家の本棚に置いてあったのです。
ただ、タイトルと作者名、そして表紙の雰囲気から、私は勝手に「大正時代あたりを舞台にしたお話だろうな」と決めつけていました。

ところが、読み進めてびっくり!
現代(2000年頃)の高校の「古典部」を舞台にしたお話だったんですね。

あらすじをざっくりと

「省エネ」をモットーとする少年・折木奉太郎(おれき ほうたろう)は、神山高校に入学する。
すると、海外にいる姉から「古典部に入部しなさい」と手紙が届き、成り行きで入部することに。
そこで出会った一風変わったお嬢様・千反田える(ちたんだ える)と共に、学校に隠された謎を解き明かしていくことから物語は始まります。

千反田の叔父の過去、伝統ある「かんや祭(文化祭)」、そして文集『氷菓』に込められた本当の意味……。
33年前に神山高校で一体何があったのか?
省エネ少年とお嬢様たちが織りなす、爽やかな青春ミステリです。

さて、ここからが本題(?笑)なのですが、この本の「あとがき」で作者の米澤さんがちょっとした小ネタ(謎かけ)を書いています。

「(食べ終えた寿司屋の駐車場から)友人が一向に車を出そうとしなかった。事の真相は後日」

こんな風に書かれたら、「えっ、なんで!?真相は何だったの!?」と気になって夜も眠れなくなっちゃいますよね(笑)。

気になって夜な夜な調べてみたところ、面白い事実が分かりました。

どうやらこれは、執筆当時のいわゆる「身内ネタ」であり、読者へのちょっとした遊び心の謎解きだったようです。
さらに驚いたのは、この作品がのちに「ライトノベル(角川スニーカー文庫)」から「一般文芸(角川文庫)」へと移籍して再刊された際、このあとがき自体が削除されるか、真面目な解説文へと変更されてしまっているのだそうです。

つまり、長女が持っている2001年発行の初版(スニーカー文庫版)でしか読めない、非常にレアな「幻のあとがき」だったということ!

真相を明かさないまま、のちの版では「もう、無かったこと」にされているなんて……!

「ねえ、なんであの時、車出してくれなかったのーー!?」と、心の中でツッコミを入れずにはいられません。

そもそも、明確な答えなんて最初から用意されていないのかもしれませんね。
本当に遊び心のある、素敵な作家さんだな、とほっこりした読書の時間でした。