こんにちは、とんび母さんです🐦
村上春樹さんの3年ぶりの新作長編『夏帆─The Tale of KAHO─』を読みました。
「ご存命の日本人作家の中で、世界で一番有名なのは誰か?」と問われれば、真っ先に名前が挙がる村上春樹さん。
そんな彼の新作となれば、そりゃあみんな手に取りますよね。
しかも今回は、「女性を主人公とした初の長編小説」とのこと。
これまでの作品とはまた違う、どんな世界観が待ち受けているのかと、読む前からワクワクしていました。
衝撃的な一言から始まる物語
主人公は、26歳の絵本作家の女性・夏帆(かほ)。
物語は、彼女が経験する“ある最悪な出会い”から幕を開けます。
「正直いって、君みたいな醜い相手は初めてだよ」
ブラインドデートで、初対面の男性からいきなり告げられるこの残酷な言葉。
読んでいるこちらまでイライラするような、ショッキングな始まりです。
他人から貼られたレッテルや自己肯定感に揺れる現代的なテーマを予感させつつも、この出来事をきっかけに、彼女の日常は少しずつ「現実と非現実の境界」が曖昧な世界へと入り込んでいきます。
次々と現れる、奇妙で魅力的なキーワード
読み進めていくと、物語には一見すると無関係な、だけどどうしようもなく惹かれる奇妙な存在や出来事が次々と現れます。
- モーターサイクルの男
- 武蔵境に現れるありくい
- シロアリの女王
- 守護天使
- 象の卵
- スカーレット・ヨハンソン
「えっ、どういうこと!?」と思ってしまいます(笑)。
これらはミステリーのように謎を論理的に解き明かすためのものではなく、夏帆自身の内面や「世界の見え方」を映し出す象徴として描かれているのかもしれません。
一見ごく普通の女性である夏帆が、こうした不思議な出来事を経験する中で、自分自身の存在や世界との向き合い方を少しずつ変えていく……。
深く静かな謎に満ちた世界観は、どこか懐かしい、あの『1Q84』を思い起こさせる感じがしました。
読み終えて
「ここが面白い!」「ここが感動した!」と、はっきりと分かりやすい言葉で説明するのはすごく難しいんです。
すべての謎がすっきり解決するような終わり方でもありません。
けれど、ページをめくる手がどうしても止まらなくなる。
現実と幻想が重なった世界を通り抜けたあと、少しだけ「自分の世界を自分で歩いていける人」へと変化した夏帆の姿に、静かな余韻が残る作品でした。
『夏帆』を読み終えた今、なんだか無性に『1Q84』をもう一度最初から再読したくなってしまいました。

