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『海のシンバル』ブックレビュー|気送管がつなぐ、孤独な二人の秘密の文通

こんにちは、とんび母さんです🐦

先週の『王様のブランチ』で紹介されていて気になっていた、久々原仁介さんの**『海のシンバル』**を読み終えました。

読み終わってから数日経つのですが、正直、まだ心の整理がついていません。それくらい、ずしりと心に残る一冊でした。

1. ホテルの「気送管」がつなぐ、秘密の文通

物語の舞台は、ある老舗ホテル。

毎週水曜日に現れる謎の少女・Rと、そこで働く従業員の磯部。二人はホテルの設備である**「気送管(きそうかん)」**を通じて、こっそりと手紙を交わし始めます。

気送管とは?
筒状の容器に書類などを入れ、圧縮空気でパイプの中を飛ばして送る設備。今ではほとんど見かけなくなった、どこかノスタルジックな装置です。

顔を合わせず、カプセルに託される言葉たち。その距離感が、孤独な二人の救いになっていく様子に最初は引き込まれました。

2. ページをめくる手が止まる、現代の歪み

しかし、物語は単なる「心温まる交流」では終わりません。

物語の端々に現れる**「パパ活」という現実。そして、避けては通れない「震災」**の影。

磯部の回想インタビューから始まる構成が、読者に「この後に何かが起きた」ことを予感させ、ページをめくるたびに胸が締め付けられるような緊張感がありました。

3. 「正しい」とは言えない、けれど切実な光

読み終えて一番感じたのは、**「感想を一言で言い表すのが、あまりにも難しい」**ということでした。

彼らの関係は、社会から見れば危うくて、決して「正解」ではないのかもしれません。でも、あの瞬間の二人にとっては、気送管を通る手紙こそが唯一の光だったのではないか……。

「感動した」などの簡単な言葉で片付けるのがためらわれる、切なくて、少し苦い。そんな読後感でした。

皆さんは、誰にも言えない秘密の繋がりを持ったことはありますか?
もし気になった方がいたら、ぜひ静かな夜に読んでみてほしい一冊です。