こんにちは、とんび母さんです🐦
今日は『エピクロスの処方箋』のブックレビューです。
著者は夏川草介さん。
本屋大賞ノミネート作品が発表されたとき、高1長女は
「やったー、エピクロス入った!」と目を輝かせていました。
長女は夏川草介さんが大好き。
第一弾の『スピノザの診察室』も、続く本作も、私より先に読んでいました。
このシリーズは、現役医師が描く“哲学×医療”の物語。
主人公は内科医・雄町哲郎。
大学病院で将来を嘱望された敏腕医師でしたが、亡くなった妹の子・龍之介を引き取るため、教授の強い引き止めを振り切って地域病院へ移ります。
「ここまで引き止めても出て行く以上、帰る場所があるとは思うなや」
そう言い放たれ、教授との関係は事実上の決裂。
距離を置いて生きてきた雄町のもとに、ある日、難症例として紹介されてきた患者がいます。
それは、かつての恩師である教授の父親でした。
物語は前作の続きですが、本作単体でも十分に完成しています。
むしろ途中からの展開は、ページをめくる手が止まらない。
正直に言うと、私は『スピノザ』よりこちらのほうが好きでした。
この作品に登場する人たちは、皆その道の一流。
腕も志も高く、人としても誠実。
まるで“人類のモテるナンバーワン”を集めたような世界観です。
現実離れしている、と言えばそうかもしれない。
でもだからこそ、理想として胸に残る。
中でも印象的だったのは、教授のこの言葉。
「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」
医療の現場の厳しさと覚悟を突きつける問い。
その一言に、知り合いの医師の顔がふと浮かびました。
命を救う仕事の裏側には、決して語られない葛藤がある。
哲学の名を冠した物語は、静かに、けれど確実にその重みを描いています。
リンク
リンク
